大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 平成9年(行コ)9号 判決 1998年1月27日

松山市来往町九二五番地六

控訴人

有限会社商品センター愛媛

右代表者代表取締役

岡田賢

右訴訟代理人弁護士

田代健

松山市若草町四番地三

被控訴人

松山税務署長 山本政宏

右指定代理人

鈴木正紀

山本和郎

川西克憲

改田典裕

川村勲

和泉康夫

大喜多山治

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、控訴人の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度の法人税について、平成六年一二月二六日付けでした再更正処分のうち、所得金額二二一五万一六三七円を超える部分、及び重加算税の再賦課決定のうち、これに対応する部分、並びに同事業年度の法人臨時特別税について、平成七年一月九日付けでした再々更正処分のうち、課税標準法人税額四五四万六〇〇〇円を超える部分、及び重加算税の再々賦課決定のうち、これに対応する部分をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二事案の概要及び証拠関係

一  事実の概要は、次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第二に記載のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決七頁三行目の「別表」を「原判決添付の別表(以下単に「別表」という。)」と改める。

2  同一一頁三行目の冒頭に「1」を加え、同八行目の末日に改行して次のとおり加える。

「仮に、右七〇〇万円のうち最終回の」三〇〇万円が仲介手数料といえないとしても、その余の合計四〇〇万円については明らかに仲介手数料というべきである。

2  控訴人は、右七〇〇万円を真実支出し、かつ、これを仲介手数料と認識して税務申告をしたにすぎない。従って、仮に右七〇〇万円について仲介手数料とみることができない部分があるとしても、それは、控訴人と被控訴人との間に、支出の趣旨につき認識の相違があるだけであって、控訴人が「課税標準等又は税額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たわけではなく、まして「その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた」わけでもない。いかなる見地からも、控訴人について、国税通則法六八条一項の要件を満たす事実はなく、重加算税の賦課は違法である。」

二  証拠関係は、原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第三当裁判所の判断

一  次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第三の一ないし五に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決二九頁五行目の末尾に改行して次のとおり加える。

「控訴人は、控訴人代表者と松田正義との間で納税の件に関し具体的な相談、協議等がなく、平成四年六月に何らの脱税工作もなしに税務申告をしていること、また、松田が脱税工作をしなかったことの責任を追及していないこと、の各事情から右三〇〇万円は脱税工作資金ないしその報酬とはいえない旨主張するが、現実に脱税工作がなされていなかったとしても、前記一の3及び右の各認定事実からすれば、控訴人が松田正義に支払った三〇〇万円の趣旨が脱税工作資金ないしその報酬であることを覆すことはできないというべきである。」

2  同四一頁九行目の「デタラメの」を「虚偽の」と改め、同四二頁二行目の「四〇〇万円は、」の次に「控訴人代表者の意思としては、本件不動産売買の斡旋に対する謝礼の趣旨が全くなかったとはいえないとしても、」を加え、同三行目の「合理的であるが」から同五行目の末尾までを次のとおり改める。

「合理的である。控訴人は、中岡勉及び松田正義が本件不動産の売却を斡旋したほかには支払いを受けた金員に見合うような活動は全くしていないこと、特に脱税に関する活動をした形跡がなく、かつて控訴人が本件不動産を買い入れた際に、中岡勉及び松田正義が仲介手数料を受け取っていること、の各事情から控訴人が中岡勉及び松田正義に支払った金員の趣旨は仲介手数料であると主張し、控訴人代表者自身も仲介手数料と考えていた旨述べている(甲九)が、右(一)ないし(六)記載の各事実を総合すれば、本件不動産の買い入れの際とは異なり、中岡勉及び松田正義は、控訴人に本件不動産を売却するよう慫慂し、その機会を利用して脱税工作の名目で控訴人から金員を引き出そうとしたものと推認でき、実際に脱税工作がなされなかったのは、脱税工作が控訴人から金員の交付を得るための名目にすぎなかったからであって、そのことによって控訴人から中岡勉及び松田正義に支払われた金員の趣旨が仲介手数料であったとみることはできない。」

3  同四四頁末行目の「謝礼金」から同四六頁四行目の末尾までを「謝礼金であり、同年四月九日及び六月一二日支払の合計金四〇〇万円も脱税工作資金及びその謝礼金として支払われたものと評価しうるものである。」と改める。

4  同四七頁七行目の「仲介手数料であるかのように仮装して」を「仲介手数料として」と改め、同一〇行目の末尾に改行して次のとおり改める。

「控訴人は、本件金員を真実支出し、かつこれを仲介手数料と認識して、本件金員を損金計算して脱税申告したものであって、故意に国税の課税標準の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺい、仮装したものではなく、また、その隠ぺいし、仮装したところに基づき納税申告書を提出していたわけではないのであって、国税通則法六八条一項の要件を充たす事実はない、と主張するが、前記引用の原判決「事実及び理由」欄の第三の三項で認定した各事実からすれば、控訴人は、本件金員を脱税工作資金ないしその報酬であることを認識していたものと推認できるから、控訴人に重加算税を課すべき要件としての故意がなかったとはいえないというべきである。」

二  結論

以上のとおり、控訴人の請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大石貢二 裁判官 一志泰滋 裁判官 重吉理美)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例